5老贼90节改稿。。。主要是下面这段
『神龍』の、龍の血を手に入れるんやね」
指を鳴らしたアナスタシア、彼女の言葉にベアトリスが頷く。
その話を聞いて、エミリアも「あ」と目を丸くした。
『神龍』ボルカニカの血、それはルグニカ王国に伝わる様々な逸話の発生源。
龍の血は涸れた大地を蘇らせ、豊穣を約束し、病やケガによる血をたちどころに遠ざける妙薬であると、とにかくすごい効果の数々が記録されている。
そして、他でもない。その龍の血は、エミリアにとって聞き逃せない要素――、
「ボルカニカから、血をもらえたら……」
エミリアの、王選に参加した目的――ルグニカ王国が保存する『龍の血』を獲得し、その血を使ってエリオール大森林の凍土、その凍結を解く。
あの森で、エミリアの力の暴走によって氷漬けとなった同胞たち、その身柄を解放するために、エミリアは王選への参加を志したのだから。
「――――」
その、エミリア参戦の最大の目的が、この瞬間に叶う可能性が浮上した。
そのことにエミリアは動転し、息を詰める。
ここでボルカニカから血をもらうことができれば、エミリアが王座に就こうという理由は失われることとなり――、
「私、は……」
「……エミリア、混乱させて悪かったかしら。ただ、エミリアが考えてる『血』と、このボルカニカの血は違うものなのよ。だから、そっちは叶わないかしら」
王選への参加の意義、それを失いかけたエミリアにベアトリスが言った。
その言葉に、エミリアは「え?」と目を丸くする。
「叶わないって、どういうこと? 私、すごーくちゃんと勉強したのよ。みんなの、あの森の氷を溶かすには、お城にある『龍の血』がいるって。それで……」
「その考えは間違ってないのよ。ただ、さっきも言った通り、ルグニカ王城にある『龍の血』と、このボルカニカの血は厳密には違う。……城の『龍の血』は、死した龍の最後に脈打った心臓からこぼれた血、かしら」
「最後の、心臓の血?」
聞いたこともない話を聞かされ、エミリアは形のいい眉を顰めた。それに静かに頷くベアトリスに対して、「よろしいですか」とユリウスが挙手する。
魂の有無を聞いて、先の衝撃からかろうじて立ち直ったらしきユリウス、彼は反応の変わらない『神龍』を見上げながら、
「お言葉ですが、ベアトリス様、今のお話はどこで? 私も、ルグニカ王国の近衛騎士団に所属した騎士です。王国の大事の多くは耳に入ってくる。しかし、今の話は……」
「――最後の心の臓の響き、龍の心血として器に注がれたり。その血、真の龍の血として王城へ託され、人と龍との盟約の証とならん」
「――――」
「知らないのも無理ないのよ。今の話は禁書庫に封じられた記録……もはや外の世界に名の残らない、『強欲の魔女』エキドナが残した記述の一文かしら」
ベアトリスのその答えに、ユリウスが瞠目し、息を詰めた。
王国騎士である彼も知らない、しかし、ベアトリスの嘘とは到底思えない内容。そしてそれが事実だとしたら――、
「では、ルグニカ王城に保管されている『龍の血』とは、どの龍の血なのですか? 最後の心臓の鼓動ということは……」
「その血を残した龍は死んでないとおかしい……そうなると、そこで頭の中空っぽでも生きとる『神龍』さんやと筋が通らんねえ」
ユリウスとアナスタシアの疑問、それももっともなものだった。
『龍の血』が最後の心臓の鼓動だとしたら、それはボルカニカのものではなくなる。そして、それでもなお絶大な力を持つ血であるなら――、
「残念だけど、そこまでは書にも書かれてなかったのよ」
「……半端なことをするものだね。察するに、その『強欲の魔女』というのが、ナツキくんがボクに冷たく当たる最大の原因だろう? そのせいであまりいい印象がなかったが、今のでよりその印象を強めたよ」
「お母様の悪口は許さんかしら。口を慎むのよ」
「二人とも、そうやってケンカしないの! でも、うん、そうなんだ……」
エキドナ性の違いで対立する二人を叱り、エミリアは静かに俯いた。
城の『龍の血』と、ボルカニカの血が違うものであるという話は初耳で、驚きだった。ただ、それと同時に少しだけホッとしている自分もいて。
「……そんなの、すごーく変なのに」
森のみんなを助けることが、エミリアにとって一番の目的だ。それは今も、いつだって変わっていない。だから、ここでボルカニカの血をもらい、それが解決策になるなら、それでエリオール大森林を解放するべきだった。
しかし、それをしたいと思う反面、エミリアは迷ったのだ。
――ならば、自分は別の手段でエリオール大森林の永久凍土を溶かせるなら、もう王選に参加することを辞退し、舞台から降りるのかと。
『神龍』の、龍の血を手に入れるんやね」
指を鳴らしたアナスタシア、彼女の言葉にベアトリスが頷く。
その話を聞いて、エミリアも「あ」と目を丸くした。
『神龍』ボルカニカの血、それはルグニカ王国に伝わる様々な逸話の発生源。
龍の血は涸れた大地を蘇らせ、豊穣を約束し、病やケガによる血をたちどころに遠ざける妙薬であると、とにかくすごい効果の数々が記録されている。
そして、他でもない。その龍の血は、エミリアにとって聞き逃せない要素――、
「ボルカニカから、血をもらえたら……」
エミリアの、王選に参加した目的――ルグニカ王国が保存する『龍の血』を獲得し、その血を使ってエリオール大森林の凍土、その凍結を解く。
あの森で、エミリアの力の暴走によって氷漬けとなった同胞たち、その身柄を解放するために、エミリアは王選への参加を志したのだから。
「――――」
その、エミリア参戦の最大の目的が、この瞬間に叶う可能性が浮上した。
そのことにエミリアは動転し、息を詰める。
ここでボルカニカから血をもらうことができれば、エミリアが王座に就こうという理由は失われることとなり――、
「私、は……」
「……エミリア、混乱させて悪かったかしら。ただ、エミリアが考えてる『血』と、このボルカニカの血は違うものなのよ。だから、そっちは叶わないかしら」
王選への参加の意義、それを失いかけたエミリアにベアトリスが言った。
その言葉に、エミリアは「え?」と目を丸くする。
「叶わないって、どういうこと? 私、すごーくちゃんと勉強したのよ。みんなの、あの森の氷を溶かすには、お城にある『龍の血』がいるって。それで……」
「その考えは間違ってないのよ。ただ、さっきも言った通り、ルグニカ王城にある『龍の血』と、このボルカニカの血は厳密には違う。……城の『龍の血』は、死した龍の最後に脈打った心臓からこぼれた血、かしら」
「最後の、心臓の血?」
聞いたこともない話を聞かされ、エミリアは形のいい眉を顰めた。それに静かに頷くベアトリスに対して、「よろしいですか」とユリウスが挙手する。
魂の有無を聞いて、先の衝撃からかろうじて立ち直ったらしきユリウス、彼は反応の変わらない『神龍』を見上げながら、
「お言葉ですが、ベアトリス様、今のお話はどこで? 私も、ルグニカ王国の近衛騎士団に所属した騎士です。王国の大事の多くは耳に入ってくる。しかし、今の話は……」
「――最後の心の臓の響き、龍の心血として器に注がれたり。その血、真の龍の血として王城へ託され、人と龍との盟約の証とならん」
「――――」
「知らないのも無理ないのよ。今の話は禁書庫に封じられた記録……もはや外の世界に名の残らない、『強欲の魔女』エキドナが残した記述の一文かしら」
ベアトリスのその答えに、ユリウスが瞠目し、息を詰めた。
王国騎士である彼も知らない、しかし、ベアトリスの嘘とは到底思えない内容。そしてそれが事実だとしたら――、
「では、ルグニカ王城に保管されている『龍の血』とは、どの龍の血なのですか? 最後の心臓の鼓動ということは……」
「その血を残した龍は死んでないとおかしい……そうなると、そこで頭の中空っぽでも生きとる『神龍』さんやと筋が通らんねえ」
ユリウスとアナスタシアの疑問、それももっともなものだった。
『龍の血』が最後の心臓の鼓動だとしたら、それはボルカニカのものではなくなる。そして、それでもなお絶大な力を持つ血であるなら――、
「残念だけど、そこまでは書にも書かれてなかったのよ」
「……半端なことをするものだね。察するに、その『強欲の魔女』というのが、ナツキくんがボクに冷たく当たる最大の原因だろう? そのせいであまりいい印象がなかったが、今のでよりその印象を強めたよ」
「お母様の悪口は許さんかしら。口を慎むのよ」
「二人とも、そうやってケンカしないの! でも、うん、そうなんだ……」
エキドナ性の違いで対立する二人を叱り、エミリアは静かに俯いた。
城の『龍の血』と、ボルカニカの血が違うものであるという話は初耳で、驚きだった。ただ、それと同時に少しだけホッとしている自分もいて。
「……そんなの、すごーく変なのに」
森のみんなを助けることが、エミリアにとって一番の目的だ。それは今も、いつだって変わっていない。だから、ここでボルカニカの血をもらい、それが解決策になるなら、それでエリオール大森林を解放するべきだった。
しかし、それをしたいと思う反面、エミリアは迷ったのだ。
――ならば、自分は別の手段でエリオール大森林の永久凍土を溶かせるなら、もう王選に参加することを辞退し、舞台から降りるのかと。